トライアウト犬を飼うという事

近年、血統書付の犬が増えるにつれて、その子のサイズ、柄の入り具合、珍しいカラーや、身体的な欠点の有無など、
色々とニーズが増えてきています。
それに伴い、かわいい、とされる仔犬は、とても高値で販売されています。
ただ、その陰で、心雑音がある、関節がゆるい、生まれつき指の数が足りない、等々の理由で、どのショップにも相手にされない
仔犬がたくさんいる事をご存知でしょうか?

本当に犬を飼う意義はなんでしょうか?
誰が見ても可愛い、極小サイズの子に高級な服を着せる事?
ドッグショーに参加して、チャンピオンを目指す事?
高級な仔犬を購入して、公園で自慢する事?
もちろん、それも楽しみの一つだと思います。
でも本当に大事なのは、愛情をたっぷり与えて最後まで育てる。それだけだと思います。
心雑音がある子でも、関節がゆるい子でも、与えた愛情は必ず返してくれます。
どんな仔犬でも、生き物として大切に育ててあげることで、子供の成長や家族の生活に与える影響はとても大きなものに
なると信じています。

 

子供の頃、庭でポチという名の雑種を一匹飼っていました。
その頃はまだドッグフードなんて普及していない時代ですから、家族の残り物をあげて、毎日散歩に連れて行ってあげていました。
その子に血統書なんて無いですし、欠点があったかなんてわかりません。もしかすると、尻尾が曲がっていたり、ヘルニアがあったり
したのかもしれません。
でも最後に14歳で老衰でなくなるまで、最後まで尻尾を振って
くれました。

ポチを飼っていた頃に比べると、仔犬のカラーやサイズ、欠点の有無など、ショップが競って付加価値をつける時代になるにつれ、
犬を飼う本当の意義が分からないで飼ってしまう人が増えているような気がします。
その事は、販売頭数の増加に伴って増えつづけている、保健所に捨てられる犬の数の増加が示しているのかもしれません。
欠点のない兄弟が引き取られていくのをみて、仔犬が言っているような気がします。

「ぼく、好きで尻尾が曲がって生まれたんじゃないよ」
「僕だって、ご主人様に注ぐ愛情は負けないけどなぁ。」

残念なことに、最近は動物病院の獣医さんですら、心雑音等の欠点がある子を飼おうか悩んでいる、と相談すると、やめたほうがいい、
と言われる場合もあるそうです。生き物ですから、欠点のある子が生まれる事を避けることは100%できません。

大切なのは、欠点のある子を見ないふりをしたり、飼うことや産ませた事を単に批判したりするのではなく、それを受け入れた上で
飼って頂ける飼い主さんを探す(増やす)ことだと思っています。
その事が結果的に過度な出産数を減らし、この世に生まれた子達みんなに飼い主さんがいる、ちょうどバランスの取れた状態に
落ち着くと信じています。


※ただ単に生体代金が無料だから、というコストの低さが理由で里親を希望している方はご遠慮下さい。
 犬を飼うには平均で1頭あたり年間40万円前後かかると言われています(参照:アニコム損害保険)。
※最後まで愛情を持って育てる、という本ページのトライアウト犬の意味を理解していただける方向けの譲渡です。