作り物のような小型犬で、体の各部はよく引き締まり、被毛は顔と四肢の下方を除いて非常に豊かである。
下毛はやわらかい綿毛、上毛はまっすぐで粗い感じのダブルコートである。首や肩の前部、胸には特に長い飾り毛
があり、それが肩まで広がっている。北方スピッツ系のサモエドを祖先とする牧羊、作業犬が関わりあるらしいといわれている。
北ドイツのポメラニアン地方で、羊の番犬として飼育されていたものが小型化されたもので、ポメラニアンという名がある。
ポメラニアンはイギリスのビクトリア女王がイタリアからもち帰り、初めて開催されたイギリス・ケネル・クラブのクラフト・ショーに
出陳したのが、一般的になったきっかけだとされている。
その後も小型化への努力が重ねられ、より美しく毛色も改良されて、今日の形になった。日本でもその小型さと可愛さ
ゆえ、家庭犬、愛玩犬として多くの人々に飼われている。
ポメラニアンは毛色には黒、ブラウン、チョコレート、レッド、オレンジ、クリーム、オレンジ・セーブル、ウルフ・セーブル、ビーバー
、ブルー、白、パーティ・カラー、ブラック・タンなどがある。特に額が丸くやや突き出た感じで、目の間のくぼみははっきりしている。
鼻筋は短く、鼻の色は黒いのがよいとされている。三角形の小さい耳は、やや離れてつき、前方に直立している。
尾は付け根が高く、背の中央に背負っており、長い飾り毛がついている。
こうした室内犬はどうしても運動不足になりがちなので、飼育者が一緒に遊んでやる。
食事は若犬から成犬では、栄養バランスのよい小型犬用ドッグフードを与える。嗜好性を考える場合は、ドライフードと缶詰フード
の混合食が、簡単でお勧めできる。過食・偏食は肥満や病気の元になるので注意する。
また眼病に罹りやすい面があるので注意する。
朗らかで、性格は素直で快活。賢くて、とても愛情こまやかだ。飼い主たちに対するサービス精神も旺盛である。
表情も非常に豊かで、フワフワの被毛に包まれた体を弾ませる姿が、愛らしい犬である。多少興奮しやすい面があるが、
従順でなだめやすい。しつけもしやすく、それが行き届いた犬では、誰からも愛されるものになるだろう。ポメラニアンは番犬としても
適当で、少しでも変わったことがあれば、盛んにほえて教えてくれる。
被毛は細くてやわらかく絡まりやすいので、毎日欠かさずにブラッシングする。また夏季は、顔、尾の毛を残して
カットするやり方もある。定期的なトリミングはもちろん、光沢のある毛質を損なわないためにも、シャンプーは専門家に任せた
ほうが無難だ。
活発な犬なので、毎日の運動は欠かせない。ただ、膝の脱臼や骨が細いため骨折をしやすいので、あまり過激
な遊びはしないほうがいい。室内での飼育に向いた種類だが、散歩に連れて出るのもいいだろう。 |